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労働時間制度のひとつとして、「専門業務型裁量労働制」というのがあります。
SEなど一定の専門職を対象に、労働時間を「1日○○時間」とみなす制度で、時間の長さと成果が比例しない、専門性・創造性の高い業務に向いているとされています。
この制度を適用できるのは、当然のことながら専門職で、その範囲は労基法施行規則。告示で定められています。
この制度を導入しようという場合、いろいろな要件をクリアしなくてはならないのですが、最大のポイントは、「我が社の○○の業務は専門業務にあたるのか」ということです。
この点に関し、去る2011年10月31日、裁量労働制を適用され、京都市のコンピューター会社「エーディーディー」でシステムエンジニアとして勤務していた男性が、実際は裁量外の労働をしていたとして、会社に残業代など約1,600万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁が約1,140万円の支払いを命じました。
「メールマガジン労働情報」によると、判決理由で大島真一裁判官は、男性は裁量労働が採用されるシステムエンジニアだったが、裁量が認められないプログラミングや営業活動に従事していたと指摘。「要件を満たしていると認められない」と判断したということです。
解釈例規では、プログラマーは含まれないとしています。
しかし、気になったのは「システムエンジニアの職務の実態を裁判所が理解していない。主張が受け入れられず残念」という、会社側弁護士のコメント。
SEと言っても、実際にはプログラミングに携わることもありますし、営業と同行して客先に説明することもあります。
これらの業務そのものは、確かに、「情報処理システムの分析または設計の業務」には該当しません。
では、これ以外の業務を少しでもやっていたら、裁量労働制の適用は認められないのか?
ここが(私の理解不足もあるのかもしれませんが)いまひとつはっきりしません。
裁量労働制のもうひとつの形態である、「企画業務型裁量労働制」の場合、「対象業務に常態として従事していること」という要件が指針にあります。
「常態として」というのも曖昧ですが、専門業務型「派遣」では、本来業務以外の「付随的業務」の割合が1割以内であれば差し支えないとされていることから、対象業務に9割以上従事していれば、常態として従事していると言えるという解釈ができます。(「労働時間規制の法律実務」(石嵜信憲編著・中央経済社)より)。
しかし、専門業務型裁量労働制の場合、この点がよく分かりません。
この点について、今回の判決では何か言及しているのでしょうか?
判決文を入手して、確認してみたいと思います。
(2011.11.8)
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