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人件費には、前回お話しした通り、いろいろなものがあります。
前回はこれを、「現金給与」と「現金給与以外の人件費」に分けて考えました。
この見方は、従業員に支払っている給与・賞与だけが人件費ではないということを、しっかり意識させてくれます。
ところで、人件費には、別のとらえ方というか、分類方法があります。
それは、「会社(経営者)がコントロールできるのか、できないのか」という観点からの分類です。
コントロールできない人件費の代表格が、法定福利費、つまり社会保険料の事業主負担分です。
これを完全に会社がコントロールするのは不可能です。
社会保険料率も上昇傾向にあります。
2009年は雇用保険料が引き下げになりましたが、このようなことは例外と考えておいた方がいいでしょう。
医療保険、年金財政の逼迫を背景に、社会保険料率が今後も増加が予想されます。
ただ、コントロールがまったくできないかといえば、そんなことはありません。
採用数の抑制や賃上げ・賞与の抑制などによって、間接的に法定福利費の伸びを抑制することはできます。
採用費、教育研修費は、会社の政策などによって、弾力的に増減できるでしょう。
また、法定外福利費も、比較的コントロール可能です。
ただし、就業規則に定めてある場合は、福利厚生も労働条件になりますから、減らす場合は、きちんと協議、手続きを踏まなくてはなりません。
賞与も、会社のコントロールの余地が大きい人件費項目でしょう。
一般的に賞与は、会社の業績や個人の成果に応じて支払うとしているケースが多いので、弾力的に額を決めることが可能です。
ただし、労働組合との団体交渉で賞与を決めている場合は、労使合意をきちんとしなくてはなりません。
また、就業規則に「賞与は○月○日に、○○ヶ月」という風に、計算式などが明記してある場合は、その内容が会社の義務となりますので、「弾力的に決める」というわけにはいかなくなりますから、注意が必要です。
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