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人材育成・活性化講座

キャリア開発が人材戦略の要


1.キャリア開発とは

人は社会に出てから、完全にリタイアするまで、いろいろな仕事、ポストにつき、その過程でいろいろな能力を身につけていきます。
この積み重ねが、「キャリア」です。キャリアをそのまま訳すと「経歴」となります。

特に主体的に何かを考えなくても、キャリアは時間の経過とともに自然にできあがっていきます。
ただ、そうやってできあがったキャリアが、自分の思い描いていた姿になっているかどうかは別問題です。
また、会社にとっては、事業戦略と社員1人1人のキャリア形成がうまくマッチしているのがベストです。

そう考えると、キャリアは、本人と会社がしっかり意識してつくっていくものだと言えます。そして、会社にとっても、個人にとっても、人材育成の中核はキャリア開発にあります。

キャリア開発の考え方が登場したのは最近のことではありません。
たとえば、CDP(Career Development Program)というのは、もう20年以上前からありました。

いま再び、キャリア開発に対する注目が集まっているのは、どういうことでしょうか?私はこれは、個人も、会社も、能力開発に真剣に取り組み始めた拠だと思っています。
しかもこれは、専門の人材育成部署をもっている大企業だけにしかできないことではありません。中小企業が人を育てる、有効な考え方であり、手段なのです。

2.会社、個人それぞれにとってのキャリア開発

それでは、会社、個人それぞれにとって、キャリア開発はどんな意味があるのでしょうか。

<会社からみたキャリア開発>

かつては、会社におけるキャリアとは、管理職ポストを上がっていくことと同義でした。
それが成り立つ程度に、会社は社員にポストを用意していました。
しかし今はそんな状況ではありません。

ポスト不足に対応するため、会社はポスト昇進以外のキャリアパスを用意する必要に迫られました。専門職、専任職など、ライン管理職以外の処遇ルートを設けるという、いわゆる「複線型キャリアパス」です。

ポスト不足には、ネガティブなイメージがつきまといます。
複線型キャリアパスというのも、ポスト不足に対応した苦肉の策という捉えかたをされがちです。
また、専門職になる人は、「管理職になれない、出生ルートからはずれてしまった人」と見られがちでした。
そう見られてもしかたのないような実態にあったのも事実ですが…

しかし私は、ポスト不足をもっとポジティブに考えています。
まず、ライン管理職を上がっていく以外にキャリアルートがないという状態の方が異常です。
その状態がなくなりつつあるというのは、とても望ましいことです。

もっと大事なことは、会社が人材の様々な可能性に気づき、それを積極的に発掘・活用していこうと考えるようになったということです。
人材公募制などが、そのひとつの表れです。

このことが、人材育成の中心にキャリア開発を据えつけるという動きにつながっているのです。

<個人からみたキャリア開発>

日本を代表するメガバンクや大手製造業が、ある日突然破綻する時代です。
(本当は「ある日突然」でも何でもないのですが)。
そんな「雇用不安の時代」。誰もが、いつどうなっても対応できるように、自分の職業能力を磨こうとするのは、当然といえば当然のことでしょう。

昨今の資格ブームや、自己啓発ブームも、そんな不安が背景にあります。
キャリア開発に個人が関心を寄せるのも、動機はネガティブです。
また、「この資格をとっておけば食うに困らない」かのような、専門学校や通信教育機関の宣伝も感心しません。

それはともかく、個人が自分のキャリア開発を真剣に考えること自体は、とても正しいことです。
そして、会社もこのことを直視し、対応していかなくてはならないのです。

3.会社がキャリア開発支援を行う意味は?

「キャリア開発」と聞くと、こんな風に考える人が少なからずいます。

1)「個人のキャリアをどうするかなどということは、会社が考えることではない」
2)「当社はそこまで考える余裕はない」

キャリア開発に対してネガティブな意見は他にもいろいろありますが、この3つが、おそらく代表的なものなのだと思います。
2番目は、中小企業の場合に特に多い意見でしょう。

こうした疑問にどう答えるか、今回はこの点をお話してみたいと思います。
ここをよく考えてみることによって、「キャリア開発はなぜ必要か」ということが見えてきます。

<いきなり結論>

「キャリア開発こそ、人事制度の中核。企業規模の大小は問わない」
これが、私の結論です。
それでは、なぜそう考えるのか、それをお話していきましょう。

<キャリア開発は会社が考えることか>

これからの人事・賃金制度は、社員1人1人のパフォーマンスを最大限に上げるような方向に向かいます。
「成果主義」であれ、「能力主義」であれ、方向性に大きな違いはありません。
この点に異を唱える人は、少数派でしょう。

年功序列、終身雇用がスタンダードだった時代は、「キャリア開発」が大きなテーマになることは少なかったと思います。
あっても、それは企業内のローテーション(人事異動)を、どのように設計するかという議論が中心でした。
前提は新卒で入社した会社に定年まで勤めることでした。社員は入社後、一定の頻度で職場を変わり、異動を積み重ねていく過程で出世の階段を上がっていったわけです。会社はそれなりの仕事とポストを、ほぼ全員の社員に用意することができました。

いま、このような「旧きよき時代」の人事をやっていられる会社がどれだけあるでしょうか。
仮に、今はまだやっていられても、将来もそれが可能でしょうか。

答えは「No」です。

そんな時代、規模の大小を問わず、どの会社でもやらなくてはならないのが、キャリア開発ということなのです。

4.成果主義とキャリア開発

会社は社員に、成果・業績をあげること、1人1人に課された役割を果たすことを求めます。
それは、これまでもあったことです。
年功序列だからといって、結果を問われることがまったくないということはあり得ません。
しかし、かつては、こうしたことはわりと緩やかでした。
果たした役割や業績によって、出世に差はつきました。ただ、よほどのことがなければ、誰でも、ある程度までは昇進・昇格できました。
そして、定年までの雇用がほぼ保証されていました。

そんな中で、会社が社員に求めていたことは、次のようなことだったのです。
・集団主義の中で、和を乱さないこと
・突出しないこと
・会社の命令に素直に従い、与えられた仕事を忠実にこなすこと
・個人の価値観より会社の価値観を優先すること

ですから、個人の自立とか、個人のキャリア開発ということは考えなくてよかったし、考えることができない仕組みだったのです。

このような家父長的経営システムは終わりを告げました。
今は
・成果主義、実力主義が浸透
・変化が早く、先の見通しが立てられない状況
・雇用保障ができない
・会社が社員の仕事、ポストを用意できない
――という時代です。

こういう状況下、会社は社員に自主性・自立性を求めるようになっていきます。
「社員は自分で考えて最大の成果をあげて欲しい。成果に見合った報酬はきちんと払う。
成果をあげるために必要な能力は自分で身につけて欲しい。」というわけです。

会社と個人の関係が変わってきたわけです。

こんな風に書くと、ネガティブな印象をもたれるかもしれません。
しかし、私はこのような状況を、前向きに捉えています。
自立した個人を前提にした人事システム――考えてみると、これが本来の姿ではないでしょうか?

ただ、ここに移行するためには、これまでの日本の経営に欠けているものがあります。
自立した個人が、自分のキャリアを開発する仕組みです。

さきほどお話したとおり、これまでの日本の経営は、個人の自立を妨げる仕組みでした。そこまでは言い過ぎとしても、少なくとも、個人の自立を促す仕組みになっていなかったことは確かです。

キャリア開発はなぜ必要か?
この問いかけに対する答えのひとつが、ここにあります。
成果主義、能力主義=キャリア開発人事、なのです。

5.中小企業では?

社員のキャリア開発のことなど、考える余裕がない
――キャリア開発に対するネガティブな意見の、もうひとつの代表例が、これですね。

確かに、目の前の仕事に追われて、なかなかそこまで考える余裕がないのは確かでしょう。
中小企業などは特にそうです。

でも、なぜそういう余裕がないのか?
特に中小企業では?

それ、人材に余裕がないからではないのでしょうか?

競争が厳しさを増す時代、人材の重要性はますます高くなっています。
その点は、中小企業の方が高いでしょう。大企業なら、遊んでいる人が少しぐらいいても何とかなりますから。
しかし、中小企業はそうはいきません。1人でも戦力にならない人がいたら、経営に与える影響は実に大きいはずです。

戦力アップの手段は2つです。
ひとつは中途採用(即戦力採用)。
もうひとつが人材開発です。

中途採用は、即効性のある方法です。
しかし、これだけに頼るわけにはいきません。
なぜなら、
・必要な人が採用できるとは限らない
・即戦力であっても、その人の知識やスキルはいずれ陳腐化する。つまり、1年契約などの形態でない限り、人材育成策は必要
――といった理由によります。

そして人材開発で必要な視点は、自立した個人ということです。
キャリア開発が、規模の大小を問わず必須の人事施策であること、成果主義・能力主義人事制度とは、キャリア開発と表裏一体だということなのです。

6.リンテンション(人材引きとめ)とキャリア開発

いま、働く人は、自分のキャリア意識に目覚めています。
特に若い人に、それが顕著です。
就職活動などでも、その会社に就職すると自分はどんなキャリアを積むことができるのか、そして、その会社は社員のキャリア開発に力を入れているかが、会社選びのポイントになっています。
そうです。
キャリア開発施策を整えることは、優秀な人材を惹きつける有力な手段になるのです。

キャリア開発について、こんな心配をする人がいます。
「会社が個人のキャリア開発を支援すると、社員は身につけたものを武器に転職するのではないか。」

そのような疑問に対し、私はこう考えます。
・キャリア開発施策が何もない会社からは、優秀な人が辞めていく。
・自分がその会社でキャリア形成ができると思えば、辞めない。

そうです。
キャリア開発ができる会社から人は辞めないものです。
つまり、キャリア開発施策は、リテンション(人材引止め策)としても有効なのです。

7.キャリア開発を実現する条件

それは「職務情報の整理と公開」といういことです。
平たく言うと、「会社にはどんな仕事があり、それをやるためにはどんな能力・スキルが必要かが洗い出されており、それが公開されていること」です。

これを整理しておくと、キャリア開発だけでなく、採用、人事評価、賃金
決定など、人事制度・人事政策全般に役立てることができます。その意味では、人事制度の「要(かなめ)」とも言える部分です。

キャリア開発の面でも、これはとても重要なことです。
職務情報があってはじめて、社員は、自分が将来何をしたいのか、そのためにはどんな能力開発をしなくてはならないのかを、具体的に考えることができるのです。

ところが、意外とこれがなおざりになっています。
この部分抜きで、合理的な賃金制度や評価制度をつくることはできないのですが…

なおざりになる理由のもっとも大きなものは、これをやるのがとても大変だということがあると思われます。
職務情報の整理をする場合、何をしなくてはならないか。教科書的なやり方だと、「職務分析」や「職務調査」を実施しなくてはなりません。
これは、いわば全社の業務の洗い出しです。確かにまともにやると、全社をひっくり返すような大作業となります。
そしてメンテナンスも大変です。

それではどうするのか?
それより簡単で、有効な方法があります。

それが「役割分析」です。
「役割」というのは、読んで字のごとし。
社員はそれぞれどんな機能を担っているのか、それは何のために存在するのかということです。

ですから、役割は社員の数だけ存在します。
しかし、それをある程度の大きさにくくることができます。
似かよった役割を、ひとつの単位にするわけです。
典型的なくくり方は、職種(営業、技術、事務、など)とランク(社員等級など)です。
そのくくりごとに、役割の内容、その役割を果たすために必要な能力やスキルを洗い出していきます。

この方法の利点は、
1)会社内のあらゆる業務を洗い出す必要がない
2)会社の機能という、本質的なことを分析している
――といった点にあります。

それでは、役割を洗い出すにはどうしたらいいでしょうか?

いろいろな方法がありますが、お勧めは「インタビュー」です。
それでは誰にインタビューすれば?
答えは簡単、「役割を果たしている人」です。

役割を果たしている「程度」もいろいろあると思いますが、抜群の人(いわゆる「ハイ・パフォーマー」)と、標準的な人(ミドル・パフォーマー)の両方を対象にします。

もし、職能資格など、何らかの格付け制度があれば、その区分ごとにインタビュー対象者を選ぶのがいいでしょう。
もっとも、そのような制度があれば、区分ごとに職能要件のようなものがあるでしょうから、それを使えばいいかもしれません。

もしなければ、おおまかな区分を設定しましょう。
業務実態によりますが、エントリーレベル、ミドルレベル、ベテランレベル、マネジメントレベルぐらいの区分でいいと思います。

また、職種(営業職、技術職など)で分ける必要もあるでしょう。
ただ、あまり細かくする必要はありません。

こうして選び出した人に、これまでの仕事を振り返ってもらいます。
それをPlan,Do,Action,Checkの4要素で行動を抽出します。

「○○の機能をもった新製品を開発しようと考えた。そのため、まず、現行製品に対する消費者の満足度、新機能に対するニーズ調査を行った」「人事考課シートが書きずらいという意見が多かったので、モデルチェンジを図った。たたき台を作り、管理職数名に協力してもらって実際に考課をつけてもらい、感想を聞いた」――こんな風に、具体的な行動が浮かび上がるようにします。

これらを「行動」として整理します。

「過去のやり方にとらわれることなく、常に最善の方法を考え、実行している」
「必要に応じて関係者と密接なコミュニケーションをとり、協力を引き出している」
――などといった具合です。

こうすると、どういう行動を取れば成果を上げることができるのかが見えてきます。

そして、そのような行動を取るために自分に欠けているものは何か、将来やりたいと思っていることを実現するためには、どんなものを身につけなければならないかを考える、重要な手がかりとなるわけです。

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